戦略自衛隊 目的

・(3) なぜ現代はテロや紛争が頻発するようになったのか, 映画『シン・ゴジラ』で國村隼氏演じる財前正夫統合幕僚長が、東京を破壊し尽くしたゴジラを凍結させる「ヤシオリ作戦」を前に、主人公である矢口蘭堂(長谷川博己氏)に向けて語った言葉です。, 東日本大震災と福島第一原発事故をモチーフにしたともされる『シン・ゴジラ』は、セットのつくり込みから、震災にまつわるさまざまな考証までが話題になりましたが、実際に私が東日本大震災のときに語った言葉はたしか、「国民の命を守るのがわれわれの仕事ですから、命令があれば全力を尽くします」であったように記憶しています。, 大震災当時、統合幕僚長として未曾有の災害と原発事故への対応に奔走した身としても、あらためて『シン・ゴジラ』という作品は苦闘の日々と、国民の皆様からの励ましの声を思い出させてくれました。, 映画を観た方にも、そのなかでの自衛隊の存在が印象に残ったのでしょう。その後、「自衛隊は東日本大震災のとき、どんな戦略をつくって実行したのか?」「そのときに、折木さんは何を考えていたのか?」というご質問をいただくことが増えました。, もちろん、そのご質問に対してはお答えできること、できないことがありますが、当時、次々に襲い来る国難に時々刻々と対処しながら、次の段階における自衛隊運用に関する防衛大臣への補佐、官邸での報告、被災地や現場部隊の状況把握と指示、米軍との活動調整、そして災害派遣活動を行ないながらの防衛・警備考慮など、複眼的な視点から複雑な戦略を実行していた、ということはいえるかと思います。, 震災のような有事だけではなく、平時においてもいまだに多くの国民の方々に、自衛隊はいったいどんな活動をしているのか、ということをお伝えしきれていないのは、私たちの努力不足であり、反省すべきことです。, かつて「昭和の自衛隊」は吉田茂首相が語ったとおり、存在することに重要な意義を見出しつつ、国家のために忍び耐えながら、日本国民の安全を守るべく、黙々と実力を蓄えてきました。, それが「平成の自衛隊」になるにつれて、PKO(国連平和維持活動)や国際緊急援助活動など、国民の目に見えるかたちで、その活動範囲は飛躍的に広がり、他国の軍隊と連携する機会も格段に増えました。, もちろんそのなかで、いまなお、自衛隊が国内外の民間人に向けて一発の弾も発砲していないのは幸いなことであり、私たちの誇りそのものです。, 自衛隊の役割が変化していった背景には、もちろん、日本という国が世界で果たすべき役割の変化があります。, さらにその背景には、その世界自体が、かつての常識では考えられないような変貌を遂げている、という現実があることを見逃すわけにはいきません。, わずか数年前まで、イギリスがEU(欧州連合)を離脱し、アメリカでドナルド・トランプ大統領という存在が誕生するなど、誰が予想できたでしょうか。, 世界経済のグローバル化やコネクティビティ(相互接続性)が進んだ結果、考えなくてはならない要素が飛躍的に増大し、そのなかで競争に勝ち抜くためには、以前よりもより「戦略性」が求められる時代になったのではないか、と思います。, そうした戦略性が求められるのは、もちろん自衛隊だけではありません。企業も同じはずです。, グローバル展開に生き残りをかける企業の戦略にこそ、世界の変化の潮流を踏まえた戦略性が求められるのは、いうまでもないでしょう。, ビジネススクールで教えられているような経営学は、そうした戦略を日夜研究しているはずです。, 私自身、防衛大学校を卒業してから統合幕僚長の任に至るまで、社会人のキャリアは自衛官一筋ですから、企業における戦略がどのようなものであるのか、ということについては門外漢です。, しかし最近では幸いなことに、企業人の方とお話をしたり、議論をさせていただく機会を多く頂戴し、そうしたなかで、企業人の方がいま世界をどのように捉えているのか、どんな考え方をもっているのか、ということをぼんやりとながらも理解できるようになりました。, そのなかで、ほとんどの日本人が経験したことのない、自分のような特殊なキャリアをもつ人間が、もしかすると企業人の方にも何か参考にしていただけることをお伝えできるかもしれない、と感じたことが、こうしたかたちで出版をさせていただくきっかけとなったのです。, おそらく、私が自衛隊において経験し、考えてきた戦略と、いわゆる経営学が考える戦略とは、非常に似ているところがあり、大きく違うところもあります。, なぜ経営戦略と軍事戦略が似ているのかといえば、これはあとで詳しくお話ししますが、じつは経営戦略の考え方自体が、そもそもは軍事戦略の考え方を応用して発展してきたものだからです。, その一方で、まさに戦略の本家ともいえる軍事戦略の視点を踏まえたとき、いま世の中でいわれるような「戦略」があまり深く考慮に入れられていないような部分があるのではないか、ということも感じます。, そして、経済だけを考えていても、政治だけを見ていても読み解けない、まさに複眼的思考が必要とされるこれからの社会において、その考慮されていない部分がこれからますます重要になっていくのではないか、と思うのです。, たとえばそれは、戦争のような極限ともいえる状況に置かれたなかで、きれいごとではなくリアルに人や組織を動かすための方法論や、目の前の生々しい安全保障と経済がどのような関係にあるのかという、「地政学」ならぬ「地経学」的な発想のことなどです。, あるいは、自衛隊がきわめて重視しているのは、徹底的に相手と戦うために「休む(専門的な言い方では「戦力回復」といいます)」「身体を鍛える」ことですが、こうした視点を組み込んでいる戦略実行のための基礎的要素をあまり見かけたこともありません。, 主に、ビジネスの世界で使われることが多い言葉ですが、たとえばスポーツ界のチーム強化策なども、いつの間にか「強化戦略」というフレーズが使われるようになりました。, 行政でも、農林水産業の輸出力強化戦略、観光立国戦略など、戦略という言葉が散見されます。, しかし、そもそも「戦略」とは何か、と聞かれたとき、それを明確に説明することができるでしょうか?, 本書の目的は、私がこれまで自衛隊という組織において23万人という隊員を率い、リアルな「戦い」のリスクを感じながらそのオペレーションを担ってきた経験から、「戦略の本質」を考え抜くことで、それを知見として一般の方たちに少しでも還元していきたい、というところにあります。, そもそも軍事という分野は、そのときの人類が有している知見の最先端の部分が凝縮されています。, アメリカの軍事技術であるアーパネットが現在のインターネットの基礎となったのは有名な話ですし、日本の戦後復興を担った製造業にも、その技術の根幹には旧日本軍の軍事技術があったといわれます。, あるいは、本章のなかでも説明しますが、「はじめに」でも書いたように、そもそも「戦略」という言葉は軍事からきているのです。, それでは、世の中において「戦略」とはどう定義されているのでしょうか。MBA(経営学修士)の考え方を参照してみましょう。, 戦略とは「企業あるいは事業の目的を達成するために、持続的な競争優位を確立すべく構造化されたアクション・プラン」とされます。, そして戦略をもつ意義として、「明確な経営戦略を打ち出すことは、勝ち組の企業になるための条件の1つ」「企業が保有する経営資源には限りがあり、選択と集中について考えなければならない」といわれます(『[新版]MBAマネジメント・ブック』グロービス・マネジメント・インスティテュート編著、ダイヤモンド社)。, 言葉を変えて説明するなら、戦略とは、企業の「持続的な競争優位」を確立するための基本的な考え方のことであり、企業は戦略を策定することで、何を行なうか、逆に何を行なわないかという事業領域を明らかにできます。, さらには経営資源(ヒト・モノ・カネ)投入の選択と集中が可能になり、どのような自社の強みを磨けばよいのか、ということがわかるのです。, 「持続的な競争優位」とは何に基づくのかといえば、それは、企業が商品やサービスとして提供する「特別な価値」である、といえるでしょう。, その価値とは「絶対的」ではなく、競合他社との比較などから導かれる「相対的」なものにすぎません。, 要するに、「あの会社よりもこの会社の商品のほうがいい」とか「新しく始めたサービスは以前のものよりも便利だ」という程度の差であるということです。, だからこそ、現在の「競争優位」にあぐらをかいていると、相対的な優位性の差をあっという間に縮められ、逆転されてしまいます。, デジタル化が凄まじい勢いで進展し、新しいテクノロジーによってその差がなくなるスピードは、以前よりも速まっているといえるでしょう。, そうした激しい環境変化のなかで「特別な価値」を提供しつづけるためには、イノベーション(革新)を起こして相対的な優位性を維持する経営戦略を考え、それを自社の経営資源で実現可能な事業計画や、部・課・プロジェクトチームといった現場のアクション・プランに落とし込まなければなりません。そうした計画の最上位に位置するものが、「経営戦略」というわけです。, もう少し、MBAの「経営戦略」について、話を続けましょう。「経営戦略」の策定は、どのようなプロセスを経て行なわれるのでしょうか。, まず重要になるのが、経営理念とビジョンです。経営理念とは、自社がどのような企業になりたいのかという理想や、社会における存在意義を抽象的に表したものであり、これはたとえ経営者が代わっても、通常は一貫したものです。, その一方でビジョンとは、ある時点までに「こうなっていたい」と考える到達点のことであり、そのときどきの経営トップが考える企業の近未来の姿や、その経営者固有の経営哲学などを表すと考えてよいかと思います。, その二つを踏まえたうえで、経営戦略をつくる際の一つの方法として、社会情勢や業界などの「外部環境分析」と、自社企業の「内部環境分析」があります。, 内と外の動きを踏まえたうえで、戦略オプションをつくっていくのです。そこで選択した戦略を具体的な数値目標が記された中期経営計画や単年度の経営計画・事業計画に落とし込んだうえで、実行とレビューを行なって、戦略の精度を上げていく、ということを繰り返します。, 経営戦略のなかに経営環境を効果的に組み合わせることによって、より大きな収益をあげることができる、といわれます。とはいえ、いまやグローバル化した経営環境において企業が考えなければならない変動要因は、市場ニーズや競合他社の出方だけではありません。

白石涼子 プリキュア, Correct 意味, プラダを着た悪魔 英訳, 宮村優子 ブログ, 相加性 意味, うろこだきさこんじ お面 なぜ, 新生モード 7000発, 古関裕而 戦争体験, 白石隼也 かっこいい, 凶犬の眼 あらすじ, うさぎ 栗の皮, 先生 イラスト, Twitter いいね 消える 過去, 2019年 インフルエンザ 患者数, 鹿紙 読み方, エール 野田洋次郎, 記入した 英語, 鬼 滅 の刃 20巻 特 装 版, エヴァ マーク4, 中曽根康弘 今, Nights Cold 歌詞, Twitter フォローしてるのに表示 されない, ルパンの娘 再放送 東海テレビ, 見当 語源,



フィット・フォー・ライフのすすめの最新記事